「退職後にやりたいこと」 日米比較で見えた違いとは?

「退職後にやりたいこと」 日米比較で見えた違いとは?

退職後にしたいこと 日本人の1位は?
 定年退職後、自由な時間ができたら、日本人は何をしたいと考えているのだろうか。2015年1月に東京海上日動あんしん生命(てんき予報編集部)が行ったアンケートによると、定年退職後にやりたいこと1位は「旅行」、2位「働き続ける」、3位「芸術」、4位「料理」、5位「スポーツ」という結果になった。
 まとまった時間ができ、子供が巣立ち、出費も減り、退職金などによって経済的にゆとりができたことにより、今まで行くことができなかった場所へ旅行に行きたいと考えている人が多いことがわかる。国内旅行や近場のアジア圏内だけではなく、南米ボリビアのウユニ塩湖や、フランスのモンサンミッシェルなど、日本から遠い国々への旅行を希望する人もいる。

 2位の「働き続ける」は、60代、70代でも体が健康な人が多く、雇用契約を延長して働き続ける人が増えていることを示している。働き方をフルタイムからパートタイマーへシフトしている人も多い。そして3〜5位はいずれも趣味に時間を使うという結果になった。絵画や陶芸、音楽や書道、カメラなどの芸術系やヨガやゴルフなどのスポーツは人気が高い。特に男性は今まで妻に任せきりとなっていた料理や、家の掃除などの家事全般について新たにチャレンジしようと考えている人もいるようだ。

日本と少し違う 米国人の暮らし方
 米国の大手情報サイトU.S News & World Reportに掲載された「退職後にすべき25のこと」によると、アメリカも日本同様、旅行や働き続けること、そして趣味に時間を充てたいと考えている人が多数だ。
 一方、日本人にはあまり挙げられなかった「地域でのボランティア活動」や「自分の知識や経験を大学やコミュニティセンターなどで教える講師活動」にも人気がある。さらに、若者と1対1のペアになり、直接相談に乗ってアドバイスをするというメンター制度を行っている人も多い。日本に比べ、ボランティア活動が盛んなアメリカでは、自分の老後の時間を地域社会の貢献に使いたいと考えていることが分かる。

実際には「テレビや映画鑑賞」が倍増
 アメリカの厚生労働省にあたるDepartment of Health and Human Servicesの調査(2012年)で面白いものがある。「退職後に1日のうち実際何に時間を使っているか」をまとめたものだが、1位の「睡眠」に続き、2位は「テレビや映画鑑賞」、3位は「食事や飲み会」、4位は「読書」、5位は「洗濯や掃除」という結果になった。
 この中で、働いていた頃に比べて圧倒的に増えたのは2位の「テレビや映画鑑賞」の時間だった。現役時代、1日にテレビや映画に使う時間が平均97.2分だったのに対し、退職した人が使う時間は223分。現役時代の約2.3倍、毎日4時間近くテレビの前にいることになる。

退職後の20年間
 厚生労働省によると、2014年の日本人の平均寿命は女性86.83歳、男性80.50歳。ともに過去最高を更新している。日本人女性は3年連続世界1位、男性は世界1位となり、日本は世界に誇る長寿大国だ。退職後の20年間をどのように過ごすかは、マネープランを考える上でも重要である。趣味に費やすもよし、社会活動に乗り出すもよし。時には自分のライフスタイルをゆっくり考えてみてはいかがだろう。