あなたの年金は大丈夫?企業年金を大解剖!

<2015年4月12日ZUU Online、Yahooニュースに掲載していただきました。>

あなたの年金は大丈夫?企業年金を大解剖!

 退職後の生活を支える企業年金制度。2012年におきたAIJ投資顧問の企業年金消失事件から3年がたち、厚生年金基金の解散や確定拠出年金の導入等、各企業の年金制度の動向がますます激しくなっている。一言に企業年金といっても、その種類は複数あり、中には、自分がどの年金制度に加入しているかよく分かっていない人もいるかもしれない。退職後の生活を安心して送るために、そもそも企業年金制度とはどういうものなのか、自分たちの資産は守られているのか、という疑問をしっかり解決しておこう。

厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(401K)、その違いと特徴は?
 日本の企業年金制度は、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(401K)のほか、2012年3月に廃止された税制適格退職年金や、中小企業退職金共済制度・特定退職金共済制度がある。会社から受け取っている給与明細書や会社の就業規則を確認し、人事部に問い合わせを行えば、自分が加入している年金制度が分かるだろう。今回は、多くの企業が採用しており、加入者数も多い、厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金(401K)について、その仕組みと特徴を見てみよう。

厚生年金基金とは?
 厚生年金基金は、国のルールに従って企業が国を代行して運営する「代行部分」と、企業独自のルールに従って企業が運営する「上乗せ給付(プラスアルファ給付)」の2つのパートに分けられる。1966年に発足して以来、日本の企業年金を支えてきたが、不況により運用成績が悪化し、給付金額の削減、掛金の値上げ、さらに基金自体の解散が行われている。

 厚生年金基金の解散により、自分の将来の給付金がなくなるのではと心配している加入者もいるかもしれない。基本的に、国のルールで運営された「代行部分」については、今まで積み上げてきた年金がもらえなくなるということはない。ただし、「上乗せ給付(プラスアルファ給付)」については、財政が著しく悪い場合、給付が減額される、または給付されないという可能性がある。このような場合は、会社へ運営責任を追求するなど、従業員と会社間での協議を行うこととなるだろう。基金の解散後に分配された資産は、新たに設立された企業年金に移す、個人型確定拠出年金に移す、個人が現金で受け取るなどの資産移行手続きがとられる。これらの手続きは、基金によって異なるため、会社側からの説明資料にしっかり目を通し、対応していく必要がある。

確定給付企業年金とは?
 確定給付企業年金は、厚生年金基金と異なり、国の厚生年金の代行を行わず、「上乗せ給付(プラスアルファ給付)」のみの年金である。基金が独自に定めたルールに従って運営するため、柔軟性が高く、現在は、企業年金制度の中で一番加入者数が多くなっている。また、上記の厚生年金基金が解散した場合は、企業が新たにこの確定給付企業年金基金を設立し、資産を移すケースも多い。

確定拠出年金(401K)とは?
 確定拠出年金(401K)は、「企業型」と「個人型」の2種類がある。「企業型」の場合、会社が従業員のために掛金を払い、従業員は、その掛金を投資信託や債券等の金融商品に投資して運用し、将来の年金を自分で増やしていくというものだ。一方「個人型」は、「企業型」の加入者が退職した場合などに加入する年金制度で、加入者は限定されている。購入できる金融商品は、会社ごとに異なるが、外国証券や国内証券など、幅広い選択肢が用意されていることが多い。従業員が自分で責任を持って運用し、資産を増やしていくという確定拠出年金を採用する企業数は年々増加しており、今後も増えることが予想されている。

自分の資産は自分で守る
 将来、安心した老後を送るためには、まず、自分がどの企業年金に加入しているかをしっかり把握することが大切だ。そして、厚生年金基金や確定給付企業年金の場合は、基金の運用成績をモニタリングし、自分が将来いくらもらえるのか、年金以外に自分で貯蓄しておかなければならない金額はいくらなのかということを認識していただきたい。また、確定拠出年金(401K)に加入している場合は、自分で責任を持って運用し、将来の年金を増やしていく必要がある。年金制度は、「国や企業まかせ」にせずに、自分で自分の資産をしっかり守っていく努力が不可欠だ。

ZUU Online
http://zuuonline.com/archives/53595