日本人は貯蓄好き、アジア系は高所得…日米マネー比較で見えたもの

日本人は貯蓄好き、アジア系は高所得…日米マネー比較で見えたもの

働くビジネスマンであれば自分の所得や貯蓄は同世代の中で平均的なのか、高いのか低いのか、誰もが気になるところだ。厚生労働省が毎年発表している日本人の平均所得と平均貯蓄の調査結果を見てみると自分の位置づけが分かるだろう。今回はさらにアメリカの所得や貯蓄額にも着目し日本と比較してみた。すると、日本人特有のマネー事情などが見えてきた。

日本人の平均所得は50代がトップ
 厚生労働省によると、2014年の1世帯当たり平均所得金額は528万9000円となっている。世帯主の年齢別に1世帯当たり平均所得金額を見てみると、「50~59 歳」が 722万2000 円で最も高く、次いで「40~49 歳」が641万円、「30~39 歳」が564万2000 円、最も低いのは「29 歳以下」の 316 万円となっている。
 さらに、子供がいる家庭の平均所得を見てみると、末子の年齢が「12~14 歳」の世帯の世帯あたり平均所得金額が最も高く 760万1000円。末子の年齢が「3~5 歳」は、世帯あたり平均所得金額が最も低く650万7000円であった。一方、高齢者層の所得を見てみると、公的年金の総所得に占める割合が100%の世帯、つまり公的年金への依存度が100%の世帯は全体の56.7%。半数以上の高齢者世帯において、収入源は公的年金のみで生活していることが読み取れる。
貯蓄額700万円以上の世帯の分布
 次に、日本人の平均貯蓄額や借入金の金額を見てみよう。2013年6月末の日本の1世帯当たり平均貯蓄額は1047万円。母子家庭の1世帯当たり平均貯蓄額は、263万8000円となっており、生活が苦しい状況が分かる。また、貯蓄があると回答した人のうち、貯蓄額が700万円以上の世帯の分布は以下のとおりであった。
<貯蓄額>
 700万〜1000万円 :全世帯のうち 6.2 %
 1000万〜1500万円 :全世帯のうち 8.3 %
 1500万〜2000万円 :全世帯のうち 4.8 %
 2000万〜3000万円 :全世帯のうち 6.2%
 3000万円以上 :全世帯のうち9.1%
 一方、借入金の状況をみると、1世帯当たり平均借入金額は438万7000円となっている。借入金が最も多い世代は、「40~49 歳」で871万円。次いで「30~39 歳」が794万8000 円、「50~59 歳」が599万4000 円であった。
 次に米国の事情を見てみよう。

米国の平均所得は?
 日本でも労働者の所得格差はあるが、アメリカは人種によって所得が大きく異なるという特徴がある。(以下、1ドル=120円で計算)
 アメリカ人口調査によると、アメリカ全体の平均世帯所得は2013年が5万4462ドルで日本円にして約634万円、2014年は5万3657ドル(約644万円)だった。
 人種別で見てみると、最も高い世帯年収はアジア系アメリカ人で、2014年は7万4000ドル、日本円にして約888万円。最も低い人種は黒人人種で、3万5000ドル(約420万円)。アジア人と黒人で、2倍以上の所得格差があることが分かる。
 アジア人は、アメリカ全体の人口からすると4%程度しかいないが、人口の約75%を占める白人と比べても平均所得が高くなっている。中国系やフィリピン系の、いわゆるアジア系アメリカ人は、アメリカ国内における大学への進学率が高く、成績も上位。アメリカで成功しようと、教育熱心であるアジア系の家庭が多く、その結果、年収でも人種別でトップとなっていると考えられる。

現金の貯蓄額が低い米国人
 アメリカ人は株や債券、投資信託などに投資をするか、不動産や401Kなどの退職年金という形で金融資産を保持するため現金の貯蓄額は低い。米国の非営利団体「CFED」が2014年に発表した報告書によると、米国の労働者の44%は、貯蓄残高が5887ドル以下(日本円で約706万円以下)しかなく、日本の平均貯蓄額1047万円と比べても低いことが分かる。
 身近な同僚や友達に所得や貯蓄額を直接聞くのは難しい。しかし、このような日米のデータと比べることで自らの立ち位置を確認することができる。これからの所得目標や何歳までにいくら貯蓄するという具体的なライフプランを考える上でも今回のデータを参考にしてみてはいかがだろう。