日本経済の良し悪しってどこで判断しているの?
私たちは、お給料が上がった、スーパーの野菜の値段が高くなったなど、日々の生活において、景気の変化を感じることができますね。しかし正確な景気の変化は、景気動向指数と呼ばれる指標によって、政府が測定しています。この指数を理解すると、日本の今の経済、そして将来の経済がもっと見えてくるはず。今回は、代表的な指数をご紹介します。
景気動向指数とは?
日本の景気が良くなった、悪くなったとニュースや新聞などでよく耳にしますが、景気の良し悪しとは一体どのように判断しているのでしょうか。お給料やボーナスが上がったり、スーパーマーケットで野菜の値段が上がったりと、私たちの生活の中でも、日本の景気の変化を感じることができますが、実際のところ、景気は、内閣府によって正式に測定されています。測定に用いているのは、景気動向指数という指標です。景気動向指数とは、企業や個々人の様々な経済活動で、重要かつ景気に敏感に反応する指標の動きを集めたもの。景気の現状を把握し、将来の景気の予測にも大変重要な役割を果たしています。少し難しいと思うかもしれませんが、実は私たちの生活にも密接に関わっています。今回は、そんな景気動向指数について勉強してみましょう。
最も代表的な指数は、GDPです。GDPは、Gross Domestic Productの略で、日本語では、国内総生産と訳されます。これは、一言で言うと、国の経済力の総和です。国内で、1年間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の合計で、経済が好調なときはGDPの成長率は高くなり、逆に不調なときは低くなります。原則として、GDPは、市場で取引された財やサービスの生産のみが計算されるので、市場で取引されない活動、例えば、家事労働やボランティア活動などは、含まれていません。2015年の4月から6月までのGDP成長率は、実質0.4%ダウン。3四半期ぶりにマイナスとなっています。内閣府からは、国内、海外両方のGDPが下がっていると発表されており、今後も動向が気になりますね。GDPはニュースや新聞で必ず取り上げられているので、次に発表された時は、ぜひ注目してみて下さい。
私たちの生活に関わる景気動向指数
次は、私たちの日々の生活に身近な景気動向指数をいくつかご紹介します。まずは、消費者物価指数です。消費者物価指数とは、全国の各家庭が購入する商品やサービスの価格の変動を測定したもの。私たち国民の生活水準の目安を表しています。総務省によって、毎月作成・発表され、この物価の変動は、年金の改定率などにも用いられています。物価を測定している品目は、合計で588品目。パンや牛肉、チーズや大根などの食料品をはじめ、洋服や電化製品などの商品と、家賃や電気代、鉄道運賃などのサービス料金など様々な品目から計算されており、私たちの生活に密接に関わっていますね。2015年7月の消費者物価指数は、前月に比べて0.2%アップ。2014年は、2013年に比べて2.7%アップしており、ここ最近物価が上昇傾向であることが分かります。この数字の流れを把握することで、「さらに物価が上がるかもしれないから、大きな買い物は早めにしておこうかな」などと自分でも予想することができるようになりますね。
次にご紹介するのは、新設住宅着工床面積という指標です。そろそろマイホームが買いたい、と考えている方には、ぜひ注目していただきたい指標ですね。これは、新築の住宅がどのくらい建築されているのかを表したもので、数字が増えると、どんどん家が建築されており、数字が減ると、家が建築されていないということになります。国土交通省の発表によると、2015年6月の住居用建物の着工は、前年に比べて16.3%アップ、7月は、7.4%アップという結果になっています。景気が回復していると感じ、家を建てる方が増えてきていると判断できますね。
またこれから働きたいと考えている主婦や、転職をしたいと考えている方が注目すべき指標は、有効求人倍率や失業率です。こちらもニュースでよく耳にする機会があると思います。有効求人倍率とは、仕事を探している求職者1人あたりに対して、何件の求人があるかを示すもので、例えば、求人倍率が 「1」より高いということは、仕事を探している人よりも、求人のほうが多いということになります。求人倍率が高い社会は、企業がより多くの労働者を求めているということになり、景気に活気があるということですね。一方、失業率は、労働力人口に対する失業者数の割合で計測されます。失業率が高いと、景気が良くないという目安になります。
先行指数、一致指数、遅行指数とは?
景気動向指数は、先行指数、一致指数、遅行指数の3種類に分類することができます。先行指数とは、実際の景気の動きよりも早く変化が見られるもの、一致指数とは、実際の景気と同時に変化するもの、遅行指数とは、実際の景気の動きよりも遅れて変化が見られるものです。例えば、先ほど挙げた新設住宅着工床面積は、先行指数に該当します。これから景気が良くなりそうだな、という兆候が見られると、家を買おうとする人が増え、景気が悪化しそうだなと考えると、逆に家を買おうとする人は減りますね。新設住宅着工床面積は、実際の景気よりも早めに変化が見られる指標なのです。一方、先ほど挙げた失業率は、遅行指数に該当します。例えば、日本の景気が悪い状態から回復してきている状況において、企業は徐々に採用を増やすため、失業率は実際の景気より遅れて変化するのです。
最近の日本の景気の動向は?
みなさんは、街角景気という言葉をご存知でしょうか。街角景気とは、小売店の販売員やタクシー運転手さん、飲食店の経営者など、一般的な生活を送っている方々と密接な関係のある人々が感じる「最近景気が良くなった」「景気が悪くなった」という感想を調査したものです。現在日本では、家計動向、企業動向、雇用の三分野の現状判断と先行き判断について、内閣府が2,050人に毎月アンケート調査を実施しています。2015年7月に発表された街角景気は、前月より2.3ポイント低い51.0。タクシーの運転手さんや飲食店の経営者の方と同じように、みなさんも景気の動向を感じているでしょうか。ニュースや新聞で良く聞く様々な指標を見てみると、これからの日本の景気動向が自分で予想でき、日本経済にさらに関心が持てますね。私たちの生活に密接している景気動向指数、今後ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。