ふるさと納税を賢く利用 制度変更を徹底解説

<2015年5月15日 ZUUonline、YahooニュースBusinessに掲載していただきました。>

ふるさと納税を賢く利用 制度変更を徹底解説

 2008年からスタートしたふるさと納税。国産ブランド肉や地酒など地方自治体の特典や特産品を受け取ることができ、所得税・個人住民税からふるさと納税した金額を一定の条件のもとに控除できるとあって、利用者は年々増加している。2015年はさらに制度変更が行われた。今回の改正のポイントを確認し、ふるさと納税をお得に利用する方法を勉強しよう。

 ふるさと納税のおさらい
 まずは、ふるさと納税についておさらいしておこう。ふるさと納税の特徴は大きく5点ある。

1.ふるさと納税した金額が、所得税・住民税から控除される
 本来税金は、国や自分が住んでいる地方自治体に納めるべきである。しかし、ふるさと納税を利用して、自分が住んでいる地方自治体とは別の自治体に納税(寄付)した場合、その金額が所得税・住民税から控除される仕組みとなっている。控除金額は、年収や家族構成によって異なるが、年収が高い人ほど、また子供がいる家庭よりも夫婦共働きや独身者の方が、税金の控除金額が大きくなるという特徴がある。
2.出身地以外の地方自治体に寄付できる
 自分の出身地や子供の頃に育った地域に限定されず、どこの地方自治体にもふるさと納税ができる。
3.複数の地方自治体に寄付できる
4.地域の特典や特産品を受け取ることができる
5.税金の使い道を指定できる

 ふるさと納税 その変更点は?
 ふるさと納税を利用する際に気になる点は、実際どのくらい税金控除が受けられるのか、またその手続きは煩雑ではないのか、ということであろう。2015年の制度改正では、このボトルネックとなっていた2点について変更が行われた。

1.住民税のおよそ1割だった控除金額が、2割に
 つまり、控除される金額が増えたということだ。総務省の試算によると、扶養家族が配偶者のみの給与所得者について、年収が300万円の場合の控除限度額は12,000円から23,000円に、年収500万円の場合は30,000円から59,000円に、年収700万円の場合は55,000円から108,000円に拡大された。
 実際どのくらい控除されるかは、年収や家族構成によって異なるため、事前に確認しておく必要がある。総務省のふるさと納税ポータルサイトには、「寄付金控除額の計算シミュレーション」ができるエクセルシートが掲載されている。個々の例を見てみよう。
 住宅ローン控除や保険料控除を考えずに計算すると、年収1,000万円で、扶養家族が配偶者のみの給与所得者の場合、170,000円のふるさと納税をすると、基本自己負担分2,000円を除く168,000円が税金控除となる。各地方自治体が用意する数ある特典や特産品は、税金控除されない自己負担分2,000円の価値を超える物も多いため、大変お得といえるだろう。
 一方、年収500万円で、同じく扶養家族が配偶者のみの給与所得者の場合、170,000円のふるさと納税をすると、79,453円しか税金控除されず、自己負担分が90,457円(基本自己負担分2,000円分を含む。)に増えてしまう。年収500万円の人は、59,000円までのふるさと納税なら、基本自己負担分2,000円のみで、57,000が税金控除となる計算だ。ふるさと納税を賢く利用するには、自己負担分が増えない範囲内で寄付を行うことがポイントである。

2.1年間に5地方自治体まで、確定申告が不要に
 今までは、税金控除を受けるために、ふるさと納税をした翌年に確定申告を行う必要があったが、今回の改正により、5つの地方自治体まで確定申告が不要となる「ワンストップ特例」が適用となった。確定申告の代わりに、ふるさと納税した団体ごとに、指定の申請書を郵送するという手続きが必要となる。これにより、納税した団体が、自分の住んでいる地方自治体と連携をとり、翌年の住民税を控除してくれる仕組みだ。また、もともと確定申告が不要な者であること、2015年1月1日から3月31日までふるさと納税を行っていないことという条件がある。

 控除枠の拡大、そして手続きの簡素化により、さらに使いやすくなった「ふるさと納税」。税金の控除だけではなく、各地方自治体からもらえる特典や特産品を選ぶのも楽しみのひとつだ。今まで利用したことがなかった人も、これを機に是非「ふるさと納税」を検討してみていただきたい。

ZUU Online
http://zuuonline.com/archives/59637